カテーテルアブレーション治療をはじめました
脈の速い不整脈を根治するための治療です
平成 30 年 8 月 22 日より、札幌医科大学に御協力いただき、当院でもカテーテルアブレーション治療を開始いたしました。
先ず、発作性上室性頻拍と心房粗動を対象疾患に始めています。今後、発作性心房、頻拍や心房細動の治療へ対象を拡大していきたいと考えております。
心臓の活動と不整脈
心臓は全身に血液を送りだすポンプです。心臓は4つの部屋(右心房、左心房、右心室、左心室)に分かれており、拡張と収縮を繰り返しています。そして、心臓には「刺激伝導系」という電気信号を伝えるシステムがあります。電気信号は、洞結節で発生し、心房、房室結節、ヒス束、プルキンエ線維、心室へと伝わります。電気信号の発生や伝達が正常でなくなった状態を不整脈と呼びます。不整脈には様々な種類のものがあり、それぞれ重症度や治療方法も異なってきます。
カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)
心臓の中に、治療用の電極カテーテルを挿入し、頻拍の原因となる部分にカテーテルの先端を接触させ、電気を流して周囲の心筋を約 50~60℃に熱し、局所的に小さな火傷を作ることで、脈の速い不整脈など を根治する治療法です。
対象となる不整脈は、心房細動、発作性上室頻拍、心房粗動、心房頻拍、心室頻拍、頻発する期外収縮などです。病状によっては、わざと房室結節を焼灼し(房室ブロック作成術)、ペースメーカー植込み術を行います。成功率は、病気の種類によって異なります。例えば、発作作性上室頻拍や心房粗動では、成功率は約95%、心房頻拍や(特発性)心室頻拍では、約 70~80%です。持続性心房細動では、初回成功率は 70~80%程度、再発率は 20~30%程度です。複数回の治療が必要となることがあります。
カテーテルアブレーション治療の様子
治療の所要時間はおよそ 2~5 時間です。検査・治療後は 3~6 時間程度、ベッド上で安静が必要です。翌日に診察と検査を行い、安全を確認後に歩行が可能となります。
通常は局所麻酔で行いますが、病気の種類によっては、全身麻酔(静脈麻酔)を使用し、眠った状態で検査・治療を行うことがあります。
合併症
日本循環器学会によると、重篤な合併症の発生率は約 1~2%です。私たちは可能な限り合併症を起こさないように、万全の体制を構築し、繊細な注意を払ってまいります。
アブレーション治療は、不整脈の根治的な治療として確立されています。動悸や脈の不整に気付きましたら、アブレーション治療の適応となる病気が隠れている可能性がありますので是非御相談ください。